OneDriveの仕組みを正しく理解しよう
iCloud、Dropbox、Googleドライブ etc いろいろと存在するクラウドストレージですが、そのなかでもOneDriveはひとクセある環境になっていることに注意する必要があります。
Windows10のパソコンでは、購入後に行う初期設定のチュートリアルでOneDriveの利用を聞いてきます。「 OneDriveを使用しますか?」に対して「はい」「いいえ」のどちらを選択するかでその後の環境が大きく分かれます。
ここからはその詳細を説明していこうと思います。
初期設定のチュートリアルで「OneDriveを使用しますか?」に「はい」を選択した場合は
Windows10の初期設定に出てくる「OneDriveを使用しますか?」の問いに「はい」を選択した場合は、パソコンのユーザーフォルダがOneDrive直下に置き換わる環境が作られる。
《Cドライブ > OneDrive > ユーザーフォルダ(ドキュメント、ピクチャなど)》
↑エクスプローラーで確認できます。
まずこの環境をよく理解しておかなければ、従来のクラウドのイメージと同じ感覚でOneDriveを利用していると、ファイル消失などの思わぬ自爆行為を招くことになる。
実は自分もある時期までこのイメージを間違っていて、Microsoftサポートに問い合わせた際に初めてその間違いに気が付いた。
個人ブログやQ&Aサイトでは、OneDriveを利用しているとファイルが消えたとか、同期不具合が起こりやすい、といった報告をしている記事を目にすることが多いです。
たいていは自爆行為をしていることに気がついていないケースで、回答も的を得ていないものがほとんどです。
Windows10のパソコンでは最初の環境設定に注意する
ややこしい話が苦手で、他のクラウドと同じ感覚で使いたいという人は、初期設定の「OneDriveを使用しますか?」に「いいえ」を選択すればよい。
「いいえ」と答えたからOneDriveが利用できなくなるわけではない。むしろ、従来のクラウドの感覚でOneDriveを利用したいと考えているのなら「いいえ」を選択しておくのがベター。
「はい」と答えた人は、これから説明することを理解しておく必要がある。
「はい」(OneDriveを使う)を選択した場合
「はい」を選択した場合、パソコンのユーザーフォルダがそっくりOneDriveの中身に置き換わる環境になっている。
一般的には作成した様々なドキュメントや画像などは、ほとんどの人が当たり前にパソコンのCドライブのユーザーフォルダに保存していると思う。
しかし「はい」を選択した場合には、ユーザーフォルダそのものがOneDriveのなかに格納されてしまう。
この環境を理解しないままに、従来のクラウドと同じ感覚で使っていると、非常にやっかいなことが起こってしまう。つまり、ユーザーフォルダはパソコンのCドライブではなく、OneDriveのなかにのみ保存されていることに気が付いていないからである。
【ワンポイントアドバイス】
OneDriveはパソコンのCドライブ直下に作られた階層になっている。
Cドライブ > OneDrive > ユーザーフォルダ(ドキュメント、ピクチャなど)となっていることを理解する
※Cドライブ直下のOneDriveはイメージ(仮想)ファイルのみ
ここで「えっ!でもOneDriveの前はCドライブになってるじゃない?」という疑問を持つ人もいるでしょう。
答えを先に言ってしまうと、Cドライブの中で見ているユーザ―フォルダはイメージ(仮想)ファイルなのです。
《OneDriveのイメージ》
パソコンで見ているユーザーフォルダはパソコンの中に実体があるのではなくOneDriveの中にあります。
Cドライブのユーザーフォルダは OneDriveの中にある実体ファイルのイメージ(仮想)ファイル
↑この絵は同期されているということを表しているのではない。パソコンの中にあるのはあくまでもOneDriveの中にある実体のイメージ(仮想)ファイルであるということ。
ユーザーフォルダはパソコンのドライブではなく実はOneDriveの中にある!
従来までのクラウドでは「パソコン」と「クラウド」の2つの入れ物があるというイメージだった。
しかし、Cドライブ > OneDrive > ユーザーフォルダという環境では、ユーザーフォルダはOneDriveにしか存在していない状態。
言い換えるとユーザーフォルダはそのままOneDriveの中身に置き換わっていて、一見パソコンに保存されているように見えるユーザーフォルダは、実はイメージファイルを見ているにすぎないということ。
例えて言うと、本棚に並んでいる本の背表紙のみ見られるのがCドライブにあるイメージファイルで、個々の本の中身を見ようと思ったらファイル実態のあるOneDriveに行かないと見られないということ。
そのおかげでイメージファイルのデータサイズは元データよりは小さなものになっている。
なぜ、こんな特殊な仕様にしたのか真意は不明だが、おそらくMicrosoftは初心者が意識しなくてもクラウドに親しんでもらうために、別の言い方をすると強制的にOneDriveを利用するように仕向けたのではないかと・・・
OSを提供しているMicrosoftだからこそ実現できる仕様なわけです。
例えばこの環境で「パソコンの中に”だけ”あればいいファイル」とか「クラウドのなかに”だけ”あればいいファイル」と考えてそれを消去してしまうと結果として消去したファイルはどちらにも残っていない。自爆消去になる。
それはどの操作もOneDriveからファイルを消去したことになっているからだ。
「パソコン」「クラウド」と2つの別の入れ物があると間違って認識していると自爆消去をやってしまう。
ここまで理解して頂けたでしょうか?
【結論】ユーザーフォルダはOneDriveの中にしか存在しない
まとめてみると
- ユーザーフォルダはパソコンのなかにあるのではない。OneDriveのなかにあると心得よ。
- ユーザーフォルダはパソコンとOneDriveの2つの入れ物があるわけではなく、同期されているのでもない。OneDriveの中にのみ存在する。
結論としてはそんなに難しくもなくシンプルなことなのですが、この結論をいきなり言っても、たいていの人は「は?」となると思うのです。
それは多くの人が、従来のクラウドのイメージを固定概念化してしまっているからです。それが説明されてもいまひとつピンとこない大きな原因になっています。
迅速なデータアクセスと容量節約のバランスをとる『ファイルオンデマンド』
これまで説明してきたように、パソコンのCドライブ直下のOneDriveはイメージデータとなっているのですが、イメージファイルのみだと通信環境がないとファイルをダウンロードできないので中身が見られないという事が起こります。
そこを解決するのが『ファイルオンデマンド』です。
「必要な時だけダウンロードする」か「常にPCに置いておく」かを選択するのが『ファイルオンデマンド』なのです。
これまで説明してきたOneDriveのイメージがつかめていると、以下のサイトの説明も理解しやすいはずだと思います。
詳細はMicrosoft公式サイトで
さらに詳しい説明は
どんな人が新しいOneDriveの環境で利用するべきか
従来のクラウドの意識がある人にとったら理解しにくい新しいOneDriveの環境ですが、結局、この環境で利用するメリットって何かあるの?と聞かれるとひとつだけ考えられます。
それはバックアップしない人のため。
バックアップを取らずにパソコンを使っていて、パソコンが壊れて起動も復元もできない状態になった時でも、自分で作成したファイルや画像はOneDriveの中に残っているのでその分は救われるということでしょう。
現実に一般的な個人ユーザーの多くは、バックアップなんて取っていないということを考えると、なかなか安全な仕組みとも考えられます。
ただ、容量の大きい画像や動画を大量に保存するユーザーは、無料で使えるストレージの限界を超えた時に有料に切り替えて使うのか、パソコンのドライブには余裕があってもわざわざOneDriveを有料で使うのか、ということを考えると無駄になってしまう気がします。
ズボラをしたいから安全な方法をお金を出して買うか、日常的に自分できちんとバックアップを行うかという選択になるでしょう。